
おはようございます。
新大阪の個別指導‐SPI数学塾の吉田です。
今回は塾の勉強の話というか、敢えて言うなら社会・地理・政治経済の話題ということで読んでいただけたらと思います。
昨日、USドルベースの一人当たりGDPで遂に韓国が日本を抜いたことが話題になっています。
(株式投資家である私やその関係者だけかもしれませんが…ソース)
確かに戦前において、韓国は日本の保護国・併合という経緯を辿っており、その視点で見ると、衝撃の内容かも知れません。
ただ、GDPの推移・その背景という視点に絞って考えれば、さして驚く程の問題でないと気付けます。(国民が安心して暮らせる国であれば、一人当たりのGDPの推移なんて「ふ~ん」という感じでしょう)
なぜなら、確かに一人当たりGDPとは国力・経済力を示すものでありますが、各国の比較ということになれば、比較する両国間の為替によって変動しますし、インフレ率の伸びでも左右されます。

左図は1980年以降の1ウォンが何円か?を表したグラフです。
1980年ころは1ウォンは0.4円くらいでしたが、1998年以降はほぼ1ウォンは0.1円前後で推移しています。
これを見ると、過去34年は4倍弱の急激な円高です。
ドル円で見れば、1ドル160円が40円になったような感じですね。
円高なら、USドルに換算した時も日本の一人当たりGDPが高く出る要素となりますが、日本は韓国に抜かれた。
つまり、その原因は下図の通りインフレ率なのです。


韓国は1980年頃は30%近くでしたし、1990年代もほぼ5%以上で推移してきました。
2000年代に入ってからも5%弱が10年ほど続き、ようやく2%ほどになったと思いきや、ロシア侵攻で5%近くまでなった推移になっています。
一方、日本は高度成長期の頃でも1983年を過ぎると2.5%を割り、1991年に5%超えになったため、日銀三重野総裁がインフレ阻止で一気に金融引き締めを行い(それがバブル崩壊の元凶)、以後はインフレ率0%前後を推移するようになったのです。
それを背景に日本では100均や安売り店が幅を利かせるようになり、一方で大手スーパーのダイエー・ニチイ・西友が苦境に立たされるようになったのでした(蛇足ですが)。
インフレ率は複利的に物価上昇に影響を与えます。
例えば、インフレ率10%が8年ほど続けば、物価は2倍になります。
日本は30年以上デフレ経済が続いたため、物価停滞→賃金停滞→大企業製造拠点の海外進出(韓国以外の中国・ベトナム・タイ等)が進み、一人当たりGDPも停滞したのでした。
これだけデフレが長く続くと、この数年の物価上昇で生活の逼迫感が生じますよね。
でも、大企業を中心に給与が上がっているし、経済的には異常でも何でもない。
でも、日本は少子高齢化先進国で公費負担が大きい(零細経営者は特にキツイんですよ)。
だから、国民民主党の玉木氏は手取りのアップを訴えていたのですね。
一人当たりGDPはどうでも良いと私は思っているので、今後の課題は物価上昇をどうコントロールするかがです。
物価上昇を抑えるには金利引き上げです。
消費者目線で見ると、物価が下がり、銀行金利が上がるんだし、「早くやって!」となるでしょう。
しかし、日本の中小零細企業は銀行から多額な借入をしており、その金利が上がると、バタバタと倒産が出てきます。
再び、バブル崩壊と同じ事態が起こりかねません。
何と言っても、金利を引き上げると、円高要因になり、国内の輸出産業の価格競争力が弱まります。
せっかくTSMCやラピダス等の先端産業拠点の国内回帰が起きているのに、それに水を差しかねない事態になります。
日本は下請け工場の多い垂直的下請構造の国です。
その下請けとなる中小零細工場がバタバタと倒産に追いやられると、失業問題などの結局国民自身の生活の問題に回り巡ってきます。
また、外国人観光客も激減するでしょう。
皆様のお考えをコメントいただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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