おはようございます。
新大阪の個別指導‐SPI数学塾の吉田です。
今回は「ナフサ不足→医療崩壊危機・化学メーカー急落」です。
2月末の米・イスラエルによるイラン攻撃を受け、中東の動脈であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態にあることが、世界的なサプライチェーンを直撃しています。
中国・イラン側が、医療現場への影響(ナフサ・エチレン不足)までをも「武器」として想定し、強気の態度をとっているのか?


1. エチレン・ナフサ不足と医療崩壊の危機
ナフサ(粗製ガソリン)から作られるエチレンは、医療機器に不可欠な素材の源流です。
- 医療への直接打撃: エチレンから製造される「エチレンオキサイド(EO)」は、カテーテルや手術用手袋、注射器などの医療機器の滅菌に必須です。
- 供給制限の現実: すでに出光興産などの国内大手が、ホルムズ海峡の封鎖長期化を見据えてエチレン生産停止の可能性を通知し始めています。これが止まれば、使い捨て医療器具の供給が途絶し、手術の延期や入院患者の生命維持が困難になる「医療崩壊」が現実味を帯びてきます。
2. 中国・イラン側の「想定」と戦略的意図
- 「供給網の武器化」というカード: イランにとって、ホルムズ海峡の封鎖は自国の生存をかけた「最後にして最大の武器」です。世界経済、特に日欧などの西側諸国が石油化学製品(医療・生活必需品)の不足でパニックに陥ることは、米・イスラエルに対する強力な**「間接的な圧力」**になると計算している可能性は極めて高いと言えます。
- 中国の「漁夫の利」と内需優先:中国も原油の7割を輸入に頼る立場ですが、ロシアからの陸路供給ルートを確保している点が西側と異なります。現在、中国は国内需要を優先して石油製品の輸出禁止措置を取っていますが、これは結果として世界的なナフサ不足を加速させており、西側諸国の生活基盤を揺さぶる結果となっています。
3. 米・イスラエルに対する「強気」の背景
イラン側が強気なのは、単に軍事的な対抗だけでなく、**「世界を道連れにするコスト」**を米・イスラエルに突きつけているからです。
- 人道的危機の利用: 医療現場での混乱や死者の発生は、国際社会において「戦争を主導した米・イスラエル」への批判に転嫁されやすい性質を持ちます。この「世論の反転」こそが、彼らの狙う戦略的優位性の一つと考えられます。
現在の状況まとめ | 項目 | 現状 (2026年3月中旬) |
| 原油価格 | WTI原油先物が一時120ドルに迫る高騰 |
| 医療現場 | カテーテル・滅菌ガスの原料供給に黄色信号 |
| ホルムズ海峡 | イラン革命防衛隊による事実上の封鎖継続 |
| 各国の動き | 日本は石油備蓄の放出を決定(3/16〜) |
医療現場の危機は、単なる経済問題を超えて「国家の安全保障」そのものになっています。この事態を打開するための国際的な停戦交渉や、代替ルートの確保が急務ですが、現状では中国・イラン側の「エネルギーと物流の遮断」という揺さぶりが、米・イスラエルの外交戦略を大きく束縛しているのは間違いありません。
4. 医療現場・メーカーからの「声」
現在、日本化学工業協会や日本医療機器産業連合会からは、断続的に**「供給不安に関する注意喚起」**が出されています。
- 医療現場の懸念: オペに使用する「使い捨て器具(ディスポーザブル)」の在庫が、通常の3ヶ月分から1ヶ月分を切る病院が出始めています。特にカテーテルや輸液セットは代替が効かないため、「このままナフサ供給が止まれば、救急受け入れを制限せざるを得ない」という悲痛な声が一部の地方病院から上がっています。
- メーカーの苦悩: 三井化学などの大手石化メーカーは「供給責任」を果たすため、採算度外視でナフサをスポット購入していますが、物流網(ホルムズ海峡迂回ルート)の混乱で到着が遅れ、納期回答ができない状態に陥っています。


5. 株価の「明暗」:なぜ化学メーカー間で差が出るのか?
信越化学・出光興産(上昇) vs **三井・三菱・住友(下落)**という構図が鮮明です。これは「原油高=製品価格アップで儲かる」という単純な構造ではないからです。
【上昇組:独自の強みを持つ「勝者」】
- 信越化学工業:
- 脱・石化構造: 最大の稼ぎ頭は「塩化ビニル」と「半導体シリコンウエハ」です。塩ビの原料は天然ガス(北米産)が主であり、中東の原油・ナフサ高騰の影響を比較的受けにくい構造です。
- 圧倒的価格決定権: 世界シェア1位の製品が多く、コスト増を即座に価格転嫁できるため、むしろ「インフレ局面での強者」と見なされています。
- 出光興産:
- 資源開発の恩恵: 石油元売りは、在庫評価益(安く仕入れた備蓄が高く売れる)に加え、自社で油田権益を持っているため、原油高そのものが利益を押し上げる「資源株」として買われています。
【下落組:構造的弱点に苦しむ「石化大手」】
- 三井化学・三菱ケミカル・住友化学:
- ナフサ依存度が高い: これら「総合化学」は、ナフサを分解してエチレンを作る「川上部門」を国内に抱えています。中東情勢によるナフサ価格の爆騰に対し、末端の製品(プラスチック等)への価格転嫁が追いつかず、**「スプレッド(利ざや)の悪化」**が深刻です。
- 中国景気の影響: 医療用以外に自動車や建材向けも作っていますが、中国の景気減速により、医療以外の汎用品が供給過剰で売れず、全体の業績を押し下げています。
- 特に住友化学: 過去の大型投資による負債や、特定の医薬品の特許切れなどの個別要因も重なり、石化の苦境がトドメを刺す形になっています。
6. 今後の注目点
中国・イラン側が「西側の医療崩壊」を戦略的カードにしているとするならば、**「供給の安定性」**そのものが企業価値の最優先事項になります。
| 企業 | 今後のリスク/チャンス |
| 信越化学 | 半導体需要の回復が原油高を上回るか。 |
| 出光興産 | ホルムズ海峡完全封鎖による「物理的調達不能」のリスク。 |
| 三井・三菱 | 採算の合わない石化部門の切り離し(構造改革)が進むか。 |
投資家としての視点では、単なる「単価上昇」ではなく、**「原料を中東以外(北米等)から引けるか」や「価格決定権があるか」**が、この有事下の選別基準となっているようです。
はっきり言いまして、私は住友化学を2000株保有してますが、全然心配していない、いや買い増しのチャンスすら思っています。
三井・三菱・住友とも支持線トレンドラインで止まっている。
全体の地合いとは異なった動きをする銘柄だし。
住友化学のチャートは次の通りです。


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